山のシューレ

2011年 山のシューレ

文化の多様性、共生の複合性について

文化の多様性、共生の複合性について東と西、中心と周縁、伝統と現代、身体と自然、個と社会を結ぶ。

自然は叡智を秘めています。自然は宇宙についての無限の情報を孕み、生命を生み、ついには人間をこの地球に送りだしてきました。
人は、自然の叡智を学びながら、自然を母として成長してきたのです。
しかし、自らを育んできたその叡智を人間は忘れようとしています。
人間を包む生命、生命を包む自然、自然を包む地球、地球を包む宇宙……
そうした人間世界を根底で織りなす連鎖と関係の中に古くて新しい叡智を見いださねばなりません。破滅的な方向へ突き進む科学技術や経済や環境を再考し、人間の技と振る舞いを正しい道へと連れ戻すヴィジョンが切望されています。自然に潜在する膨大な知恵を救いだし、その知を通して、世界の有り方を変えてゆくことが求められているのです。

近現代の技術文明は、自然を制圧し、支配し、不可逆的な改変をもたらすものと考えられてきました。しかし技術(テクノロジー)という言葉の語源となった古代ギリシャ語の「テクネ」は、もともと自然のなかにかくされている自然自身の本質を露わにし、輝きださせる技という意味を持っていました。技術を効率や生産性の追求、硬直化した社会制度から開放してみると、技術の内部から本来の知が目覚め、自然や生命に対して、繊細で複雑な振る舞いをすることを発見できるでしょう。自由で高度な人間の技術は自然を制圧したり、破壊したりするのではなく、自然と人間の間に創造的な関係をつくりだします。技術は生命を管理したり抑圧したりするのではなく、生命の無限の知恵を引き出し、この世界に豊かな意味をもたらすものだったのです。

21世紀に必要なことは自然が語りかけるものに耳を傾け、人間と自然の間に新しい生きたインターフェイスをつくりだすことでしょう。私たちの世界にもう一度、失われた叡智を注ぎこみ、私たちの言葉や心に慎ましさを取り戻し、人間と自然の壊れかけた関係を修復してゆかなければなりません。森と庭、里山の再生は人間と自然の生きたインターフェイスの格好のモデルとなるでしょう。那須の小さな森と庭からその新しい物語が始まります。

開催日時:2011 年 7月 29日|金|〜 7月 31日|日|

3日間の主な講演概要


シンポジウム 第1部|
ユーラシア文化の響き合い
― マクロとミクロが交わる美
基調講演Ⅰ アンドレア・バトルフィ(写真家)、新見隆(キュレーター)
基調講演Ⅱ 青柳正規 (西洋古代美術史家、国立西洋美術館館長)

シンポジウム 第2部|
ライフ・スタイル・リテラシーへ
― 日本文化と美意識の未来形
原研哉(デザイナー)、青柳正規(西洋古代美術史家、国立西洋美術館館長)
モデレーター:新見隆(キュレーター)

開き舞台
「奥の細道那須幻想」
安田登(能楽師)、槻宅聡(笛方)、奥津健太郎(狂言師)、楠美奈生(コンテンポラリーダンサー)

対談
能の身体性、能の霊性
安田登(能楽師)× 内田樹(思想家)

二期倶楽部特別企画
料理教室&ランチ
宮﨑康典(二期倶楽部総料理長)

ワークショップ
自然を感じる、神秘を想う=写真術ならぬ、身体と心の瞑想ワークショップ
アンドレア・バトルフィ(写真家)
講演
回帰する生と死 ― ケルトと日本の死生観から
鶴岡真弓(美術文明史家・ケルト芸術研究家)

特別講演
龍村仁(映画監督)×「ガイアシンフォニー第一番」映画上映

講演 ゲーテ色彩論とその拡がり
能勢伊勢雄(写真家・美術展企画)

対談
デザインの精霊の吹くところ ―「風土」のデザインを求めて
佐藤卓(グラフィックデザイナー)× ナガオカケンメイ(D&DEPARTMENT PROJECT 代表)

対談
共振する科学と芸術
― 二つの文化の新たな融合へ
伊藤俊治(美術史家)× 佐治晴夫(宇宙物理学者)

特別親子ワークショップ
森山開次の「森と踊ろう!」
森山開次(ダンサー)

結び舞台
縄文・オトとカタチの原風景
土取利行・縄文鼓演奏と、共演者:猪風来+縄文土偶たち

アーティスト・イン・レジデンスプログラム
福島かほりワークショップ
福島かほり(陶芸作家)
大町彩 陶芸ワークショップ 2日間連続講座
大町彩(陶芸作家)

10年の庭プロジェクト
夏の夜、庭に集い、竹灯りに祈る
小林 崇(ツリーハウスクリエイター)× ちかけん(竹あかり総合演出)× 86B210(舞踊ユニット)

2011 年 8月 1日|月|
山のシューレ・特別連動プログラム
commmons: schola講座 ― 親子のための音楽教室
坂本龍一(音楽家)× 小沼純一(音楽/文化批評・早稲田大学教授)


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